テナント契約をする際の注意点とは?契約時の流れやポイント
店舗やオフィスなどの商業スペースを借りる際に結ぶテナント契約。
一般的な住居の賃貸契約とは異なる点が多く、初めて契約する方にとっては不安や疑問が尽きないものです。
高額な初期費用や複雑な契約条件、予想外の追加費用など、テナント契約にはさまざまなリスクが潜んでいます。
本記事では、テナント契約の基本から契約時の流れ、注意すべきポイント、中途解約・退去時の注意点まで、トラブルを未然に防ぐための重要情報を詳しく解説します。
これからテナント契約を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
テナント契約とは?
テナント契約は、住居用賃貸契約とは適用される借地借家法の範囲が異なる点が特徴です。
商業目的での使用が前提となるため、契約条件が厳しく設定されることが多く、貸主の意向が契約内容に強く反映されます。
特に、敷金や保証金の金額は住居用よりも高額になりやすく、家賃の3〜12ヶ月分が相場となることもあります。
また、内装工事や原状回復の範囲も住居用と大きく異なり、「スケルトン渡し」や「居抜き物件」といった特有の契約形態が存在します。
テナント契約の種類
テナント契約には主に「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類があります。
・普通借家契約
契約期間満了後も基本的には自動更新されます。ただし、貸主が更新を拒絶する場合、正当事由が必要となります。
・定期借家契約
契約期間満了とともに確定的に終了し、原則として自動更新はありません。貸主と借主の合意があれば再契約も可能ですが、貸主の意向によっては再契約ができない場合もあるため注意が必要です。
事業計画に合わせて適切な契約形態を選ぶことが重要です。特に、短期間での出店や撤退を視野に入れる場合、定期借家契約の制約を十分に理解しておくことが必要です。
テナント契約の流れ
テナント契約は住居用の賃貸契約よりも契約内容が複雑であり、準備すべき書類や交渉事項も多くなります。
契約までの一般的な流れを把握しておくことで、スムーズに手続きを進めることができます。
物件探しから内見まで
最初のステップは、希望条件に合う物件を探すことです。立地や賃料、面積、周辺環境、競合店舗の有無などを考慮し、候補物件をリストアップしましょう。
不動産仲介業者や物件管理会社のサポートを受けながら内見を行い、実際の空間や設備を確認します。
初めの段階で、業種に適した設備や条件が整っているかをしっかり確認することが重要です。
特に電気容量や給排水設備、エアコンや換気設備の有無、共用部分の管理状況、周辺の集客力や人通りなどは、後の営業に大きく影響するポイントとなります。
申込みと審査
物件が決まったら、申込書を提出し、貸主による審査が行われます。
テナント契約の審査は住居用よりも厳格であり、事業計画書や財務諸表の提出を求められることがあります。
特に新規開業の場合は、貸主が事業の安定性や支払い能力を重視するため、具体的な事業内容や収益見通しをしっかり説明できるよう準備しておきましょう。
条件交渉
審査を通過すると、具体的な契約条件の交渉に入ります。
賃料や保証金の金額、契約期間、フリーレントの有無、内装工事の可否など、貸主と借主の間で詳細な取り決めを行います。
特に、契約期間や更新条件、原状回復義務の範囲については、後のトラブルを避けるためにも慎重に確認することが必要です。
また、解約時の違約金や通知期間なども、事前にしっかり理解しておくことが重要です。
契約締結
条件がまとまったら、契約書の作成・締結を行います。
契約締結時には、重要事項説明を受け、契約内容を十分に理解したうえで署名・捺印することが必要です。
契約書の内容は後々のトラブル防止のためにも十分に確認し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けるのも有効です。
契約時には、敷金や保証金、仲介手数料、前払い賃料などの初期費用を支払う必要があります。
契約書は必ず保管し、契約期間中も定期的に内容を確認することをおすすめします。
テナント契約時のポイント
テナント契約を結ぶ際には、見落としがちな重要なポイントがいくつかあります。これらを事前に把握しておくことで、後々のトラブルを未然に防ぐことができます。
賃料以外の費用を確認する
テナント契約では賃料だけでなく、共益費や管理費、水道光熱費、看板設置料など、さまざまな付随費用が発生します。
また、一部の物件では、売上に応じて賃料が変動する歩合賃料制が採用されている場合もあります。
こうした費用を含めた総額を事前に試算し、事業計画と照らし合わせることが重要です。
特に、歩合賃料制の場合は、契約条件によって賃料負担が大きく変わる可能性があるため、慎重に確認しましょう。
内装工事と原状回復義務の範囲
多くのテナント物件では入居後に内装工事が必要となりますが、その範囲や条件は契約によって異なります。
天井や壁、床の変更可否、設備の増設制限、給排水設備の改修など、業種に応じた工事が可能かを事前に確認しておくことが大切です。
また、退去時の原状回復義務についても注意が必要です。
スケルトン返し(借りた当初の状態に戻す義務)が求められる場合、解体・撤去費用が高額になることもあります。
契約書の該当箇所をしっかり確認し、必要に応じて交渉を行いましょう。
営業時間や業種の制限
商業施設内のテナントや複合ビルでは、施設全体の運営方針に合わせた営業時間の制約があることがあります。
開店・閉店時間が決められている場合、それに従う必要があるため、柔軟な営業が難しくなる可能性もあります。
また、同じ施設内での競合を避けるため、業種の制限が設けられていることもあります。
契約時に業種変更やメニュー追加が可能かどうかも確認し、将来的な事業展開の妨げとならないか慎重に検討しましょう。
契約更新条件の確認
普通借家契約の場合は契約更新の条件や更新料、解約通知期間などを事前に確認しておくことが重要です。
定期借家契約の場合は、契約期間満了後の再契約の可否や条件が明確になっているかを確認し、長期的な事業計画に影響を及ぼさないようにする必要があります。
特に、事業が軌道に乗り始めたタイミングで契約終了や更新トラブルが発生すると、移転や閉店を余儀なくされる可能性もあるため、契約時点で将来を見据えた交渉を行うことが大切です。
テナントの中途解約・退去時の注意点
事業計画の変更や業績不振などにより、契約期間途中での解約が必要になることもあります。
また、契約期間満了に伴う退去時にも様々な手続きが発生します。トラブルを避けるために、事前に確認すべきポイントを紹介します。
解約予告期間を確認する
テナント契約では、中途解約の際に一定の予告期間が必要とされることが一般的です。
多くの契約では3ヶ月前や6ヶ月前までに解約の申し出を行うことが義務付けられており、この期間を守らない場合、違約金が発生することがあります。
急な事業撤退を余儀なくされた場合でも、契約上の予告期間分の賃料は支払う必要があるため、事業計画を見直す際には注意が必要です。
違約金や解約金の有無
中途解約時に発生する違約金や解約金の条件も、事前に確認しておくべき重要なポイントです。
契約内容によっては、解約時に残りの契約期間の賃料全額を請求されるケースもあり、経済的な負担が大きくなる可能性があります。
特に長期契約の場合、将来的な事業環境の変化を見越して、無理のない解約条件を交渉しておくことが望ましいでしょう。
また、解約の手続きが複雑な場合もあるため、契約時にどのような手順が必要になるのかを確認しておくことが重要です。
原状回復工事の範囲と費用
退去時には契約で定められた原状回復工事を実施する必要があります。
テナント物件では、住居用に比べて原状回復の範囲が広く、工事費用も高額になることが多いのが特徴です。
スケルトン返し(全てを撤去して引き渡す)を求められる場合、解体・撤去費用が数百万円規模になることもあります。
早めに専門業者へ見積もりを依頼し、敷金がどの程度原状回復費用に充当されるのかを確認することが重要です。
場合によっては敷金だけでは足りず、追加費用が発生することもあるため、資金計画に余裕を持たせておく必要があります。
明渡し期限の厳守
退去日は契約書に明記されているため、その期限を厳守することが求められます。
特に、次の入居者が決まっている場合、明渡しが遅れることで貸主に損害を与えることになり、損害賠償を求められる可能性もあります。
備品の搬出や内装の撤去、清掃には想定以上の時間がかかることがあるため、余裕を持ったスケジュールで進めることが大切です。
契約期間満了時のスムーズな退去に向けて、事前に必要な手続きや作業をリストアップし、計画的に進めるようにしましょう。
特約について確認すべきこと
テナント契約では、標準的な契約条項に加えて、さまざまな「特約」が設けられることがあります。
これらの特約は契約内容を大きく左右し、事業運営に影響を与える可能性があるため、しっかりと確認することが重要です。
禁止事項や制限に関する特約
多くのテナント契約には、使用方法や営業内容に関する制限が特約として盛り込まれています。
例えば、24時間営業の禁止、特定の業種への転用禁止、音や匂いの制限など、運営方針に関わる条件が定められていることがあります。
特に、商業施設やオフィスビル内のテナントでは、周囲の店舗やオフィスとの調和を保つために厳しい制限が設けられるケースもあります。
こうした条件が、将来的な事業展開の妨げにならないかを事前に確認し、必要に応じて交渉を行うことが重要です。
修繕費負担に関する特約
一般的な賃貸借契約では、建物の構造に関わる部分の修繕は貸主負担とされることが多いですが、テナント契約では借主負担とする特約が設けられる場合もあります。
エアコンや給排水設備、電気設備などの修繕費用が借主負担となるケースもあり、これを見落とすと想定外の出費につながる可能性があります。
特に、築年数の古い物件では設備の老朽化が進んでいることが多く、修繕費の発生リスクが高いため、契約時に具体的な負担範囲を明確に確認しておくことが重要です。
売上報告義務に関する特約
商業施設内のテナントでは、月次の売上を報告する義務を課す特約が設けられていることがあります。
特に、売上に応じて賃料が変動する歩合賃料制を採用している場合、正確な売上報告が求められるため、適切な売上管理体制を整えることが必要です。
売上報告を怠った場合、契約違反と見なされる可能性もあるため、契約書の報告義務の内容を十分に確認しておきましょう。
競業避止に関する特約
同一商圏内での出店制限や、契約終了後の競業避止義務を定める特約が含まれる場合もあります。
特に、フランチャイズ契約を伴うテナント契約では、契約終了後も一定期間、同様の業種での営業を禁止されることがあります。
これにより、事業の拡大や移転が制限される可能性があるため、将来的な事業計画に影響を及ぼさないかを慎重に検討する必要があります。
契約時には、制約の期間や範囲について明確に把握し、不明点があれば仲介業者などに確認しておくことが重要です。
テナント契約は事業の基盤となる重要な契約です。適切な物件選びと契約内容の理解が、ビジネスの長期的な成功につながります。
今回解説した内容を振り返りながら、テナント契約で失敗しないためのポイントを整理しましょう。
テナント契約で失敗しないための要点整理
テナント契約を結ぶ際には、事前に確認すべき重要なポイントが多くあります。
まず、契約の種類を理解し、普通借家契約と定期借家契約の違いを把握することが重要です。
契約の流れとしては、物件探しから内見、申込みと審査、条件交渉を経て契約締結に至ります。
契約時には、賃料以外の諸費用の確認や、内装工事と原状回復義務の範囲、営業時間や業種の制限、契約更新条件などを事前に明確にしておくことが必要です。
特に、賃料以外の共益費や修繕負担などの費用を見落とさないよう注意しましょう。
中途解約や退去が必要になった場合には、解約予告期間や違約金の有無、原状回復工事の範囲と費用、明渡し期限などに注意が必要です。
原状回復費用は物件によって大きく異なる為、退去時の資金計画を含め、契約前にしっかり確認しておくことが大切です。
さらに、契約書に記載される特約についても細かく確認することが重要です。
禁止事項や制限、修繕費負担、売上報告義務、競業避止などの特約は、将来的な事業展開に大きな影響を与える可能性があります。
これらの内容を十分に理解した上で契約を結ぶようにしましょう。
最終的には、契約内容をしっかり理解し、必要に応じて弁護士や不動産の専門家に相談することも検討してください。
テナント契約は長期間にわたって事業に影響を与える重要な契約です。今回ご紹介したポイントを参考に、自社のビジネスに最適な契約を結んでいただければ幸いです。
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