店舗の立ち退き料の相場は?計算方法と料金を抑えるテクニック

突然の立ち退き要請に直面し、どのように対応すべきか悩んでいる店舗経営者の方は多いのではないでしょうか。
立ち退き料の相場は地域や業態によって大きく異なり、さらに近年は建設費の高騰などにより上昇傾向にあります。
本記事では立ち退き料の適正な金額から具体的な交渉方法まで、実例を交えながら詳しく説明します。
交渉を有利に進めるためのポイントや注意点も含め、成功的な立ち退き交渉に必要な情報を網羅的に解説していきます。

そもそも立ち退き料とは?

テナントとして店舗を借りている方が、オーナーから立ち退きを求められた際に受け取れる補償金が立ち退き料です。
例えば建物の建て替えや大規模修繕工事などオーナー側の都合で契約解除を求められた場合に発生します。

お店を移転する際にかかる工事費用はもちろん、引っ越し費用や一時的な売上減少なども補償の対象となります。
立ち退き料は借地借家法によって保護された権利なので、オーナーからの要請があっても慌てる必要はありません。
ただし立ち退き料の具体的な金額は物件の場所やお店の業態によって大きく異なります。さらに交渉の進め方次第で金額が変わることも。 適切な対応方法を知っておくことで、より良い条件での合意が可能になります。

立ち退き料の相場について

店舗の立ち退き料は場所や物件の条件によって金額が大きく変わります。
都心部の立ち退き料は年々上昇傾向にあり2024年の取引データでは前年比で約8%増加しています。

エリア別の立ち退き料相場

立ち退き料の相場は店舗の立地によって大きく異なります。一般的に都心部の商業地域では郊外に比べて高額になる傾向があります。
一等地では売上高を基準に立ち退き料が算出されることが多く、複数年分の売上高相当額が検討されるケースがあります。
京都の場合、観光地としての特性が立ち退き料に影響を与えます。
四条河原町や祇園など観光客が多く訪れるエリアは、観光需要を考慮した金額設定となることが一般的です。特に京都は歴史的建造物が多いエリアでは、建物の文化的価値も考慮される特徴があります。
大阪では梅田や心斎橋といった商業の中心地は高額となる傾向にありますが、各エリアの特性によって金額は変動します。
例えば飲食店が集まる地域では、厨房設備などの移転費用も考慮されます。また地下街が発達している特徴から、地下と地上で相場が異なることもあります。
準繁華街エリアでは一等地より相場は抑えめとなりますが、立地の利便性や物件の希少性によって金額は変動します。
店舗が入居するビルの築年数や設備の状態なども考慮される要素となります。
住宅街の路面店は商業地域と比べると相場は控えめになりますが、駅からの距離や通行量などの立地条件によって変わってきます。
再開発などの計画がある地域では相場より高くなることもあります。

業種による立ち退き料の違い

業種による立ち退き料の違いも重要な要素です。
飲食店は厨房設備など多額の初期投資が必要なため比較的高額になります。
一方で物販店は内装工事が少額で済むため相場は低めです。

立地条件による金額変動要因

立地による具体的な金額の変動要素として駅からの距離が挙げられます。
駅から徒歩5分以内の物件は10分以上離れた物件と比べて約1.5倍になります。
また1日の通行量が1万人を超えるような場所では標準的な立地の約2倍になることも。

立ち退き料上昇の背景

不動産鑑定士協会のデータによれば立ち退き料の上昇には建設費の高騰が大きく影響しています。
新規出店時の工事費用が増加しているためです。
また人手不足による工期の長期化やエネルギーコストの上昇も要因となっています。

契約形態による違い

賃貸借契約の種類も立ち退き料に影響を与えます。
定期借家契約は契約期間満了による終了が前提のため通常の普通借家契約より金額は低くなります。

立ち退き料の計算方法

店舗の立ち退き料は複数の要素を組み合わせて計算します。
適切な金額を算出するためにはそれぞれの要素について正確な把握が必要です。

基本的な計算の考え方

立ち退き料を算出する際の基本的な考え方は「事業者が被る損失の総額」です。
これには目に見える直接的な損失だけでなく将来的な逸失利益なども含まれます。
年間売上高3000万円の飲食店を例に具体的な計算方法を説明します。

営業補償の計算方法

営業補償は立ち退き料の中核となる部分です。
直近の売上高をベースに算出しますが業態や立地によって計算の係数が異なります。
一般的な計算式は

「年間売上高×営業利益率×補償年数」

です。
例えば年商3000万円で営業利益率が15%の場合は450万円が1年分の基準額となります。

移転費用の算定方法

移転費用は新店舗への引越費用や工事費用を含みます。
内装工事費は業態により大きく異なり飲食店では1坪あたり100万円程度かかることも。
また建築資材の高騰により2024年は例年より20%ほど費用が増加しています。

設備投資の残存価値

店舗設備や造作等の投資額のうち未償却分を計算します。
これは設備の取得価額から経過年数に応じた減価償却費を差し引いて算出します。
エアコンや照明設備などの一般的な設備から厨房機器まで幅広い項目が対象となります。

営業損失の計算

移転に伴う一時的な売上減少も補償の対象です。
新店舗での営業が軌道に乗るまでの期間を3〜6ヶ月と想定しその間の利益減少分を計上します。
顧客の認知度向上にかかる広告宣伝費なども含めて算出します。

その他考慮すべき要素

従業員の休業補償や仮店舗の賃料なども必要に応じて計算に含めます。
また立地の希少性や周辺の開発計画なども金額に影響を与える要素となります。

店舗立ち退き交渉の進め方

店舗の経営者が立ち退きをする際、以下のような流れで貸主との立ち退き交渉をすることがあります。

立ち退き要請文書の受領

はじめに、オーナーから立ち退きの理由や希望する退去時期を記載した文書が届きます。
ここで大切なのは慌てないこと。内容をしっかり確認し専門家への相談も検討しましょう。
建て替えや大規模修繕が理由として一般的です。

交渉の事前準備

立ち退き料の交渉に必要な書類を用意します。お店の売上データや確定申告書(3年分)設備の領収書などが必要です。
これらは適切な立ち退き料を求めるための大切な証拠となります。信頼できる弁護士に相談するのもこの段階がおすすめです。

初回の面談

オーナーと直接会って具体的な説明を受けます。
この段階では金額の話は控えめに。まずはお互いの状況を理解し合うことが大切です。
最初に提示される金額は最終的な合意額より低めが一般的なのでご注意を。

立ち退き料の交渉

具体的な金額について話し合います。お店の状況や移転にかかる費用などを示しながら交渉を進めます。
この時期に移転先も探し始めると良いでしょう。良い物件が見つかれば交渉を早めに進められます。

契約の締結

話し合いがまとまったら契約書を作成します。立ち退き料の金額や支払い方法移転期限など決めたことをすべて書面にします。

立ち退き交渉での重要ポイント

立ち退き交渉を円滑に進めるために重要なポイントを解説します。

適切な交渉時期の見極め

交渉のタイミングは慎重に検討する必要があります。
オーナー側の事情や建て替え計画のスケジュールを確認しながら適切な時期を見極めましょう。
再開発などの計画がある場合は比較的良い条件での合意が期待できます。

交渉の基本姿勢

感情的にならず建設的な対話を心がけることが重要です。
お互いの立場を理解し合意点を探る姿勢が求められます。
初期段階でのコミュニケーション不足は交渉の長期化につながることがあります。

データを用いた交渉

客観的なデータを活用することで説得力のある交渉が可能になります。
売上データなど具体的な数字を示すことが重要です。事前に必要な資料を準備することで交渉をスムーズに進められます。

専門家への相談

弁護士や不動産鑑定士などの専門家に相談することで適切なアドバイスを得られます。
特に契約書の確認や補償額の算定では専門家の知見が重要です。早めの段階での相談をお勧めします。

移転先の検討

交渉と並行して移転先となる物件を探すことも大切です。
これにより具体的な移転費用の算出が可能になり交渉の参考となります。良い物件が見つかれば早期の合意も視野に入れられます。

立ち退き交渉で注意すべき点

立ち退き交渉を進める上で気をつけるべきポイントをご説明します。
これらの注意点を把握しておくことで、スムーズな交渉につながります。

最初の条件をすぐに受け入れない

オーナーから最初に提示される条件は交渉の出発点です。
この段階で急いで判断せず内容をよく検討しましょう。
経験豊富な不動産の専門家は「最初の提示額は交渉の余地がある」とアドバイスしています。

合意事項は必ず書面に残す

話し合いで決まったことは必ず書面に残すことが大切です。
口頭での約束だけでは後から「言った」「言わない」というトラブルになりかねません。
メモを取り内容を確認し合うなど記録を残す習慣をつけましょう。

期限は具体的な日付で

立ち退き期限や支払期限は「〇月〇日まで」と具体的な日付で決めましょう。
「できるだけ早く」「工事が始まるまで」といった表現は避けるべきです。
明確な期限を設定することでお互いの予定が立てやすくなります。

補償項目の確認を忘れずに

立ち退き料には様々な補償項目が含まれます。
移転費用や工事費用以外にも従業員の休業補償や顧客への案内費用なども考慮が必要です。
専門家に相談しながら必要な項目を確認していきましょう。

専門家には早めに相談を

弁護士などの専門家には早い段階で相談することをお勧めします。
契約書の作成段階になってからでは修正が難しくなることもあります。
経験豊富な専門家のアドバイスを受けることで安心して交渉を進められます。

京都のテナントを多数ご紹介

店舗の立ち退き料は店がある場所やお店の種類によって金額が変わってきます。
具体的な金額を決めるには様々な要素を細かく見ていく必要があります。
交渉を進めるときは落ち着いて臨むことが大切です。
売上データなどの具体的な数字を用意して話を進めましょう。話し合いで決まったことは必ず書面にして残すようにしましょう。

しっかりと準備をして計画的に交渉を進めることで店舗オーナーとの間で良好な合意を目指すことができます。
不安な点は早めに専門家に相談することをお勧めします。

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